mercy's blog

愛知県でリハビリテーションに従事する者として日々考えることをまとめています。

キャリア形成のためのSTEPを考える

今回は2019年に当日スタッフとして関わらせていただいた

”本気の出世とパラキャリ”

を通して学んだことをシェアしていきたいと思います。

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とある調査によると、臨床家1〜2年目は講習会に積極的に参加し、3〜4年目でやや俯瞰的な見方をするようになり、5年目以降で自己研鑽の機会が著しく低下する(二極化;30〜40%でほとんどやらなくなる)ということが分かっているそうです。

5年目以降というとちょうど結婚や出産などのライフイベントが選択肢として出てくる時期にあたるので、ライフスタイルの変化もあるのでしょうね。例えば、子供の習い事が7000円である、そのタイミングで良い実技の勉強会が7000円である、といったように同様の額が提示されている際に選択が迫られるという状況が考えられますね。

親になるとわかる部分ではありますが、一般的な働き方しかしていないセラピストにとって勉強会の費用を捻出するというのは非常に大変なことです。

ただ、理想的には、子供への投資も自分への投資も、両方選択できるのが一番ですよね。

家族も自己研鑽も双方ともに大切にするため、月に数万円の収入の上げ方、という視点でお伝えさせていただければと思います。

 

現実的に収入は上げられるのか

ある程度長く勤めている方にとっては周知の事実と思いますが、どんなに自己研鑽を積みながら経験年数を積んでも、診療報酬の形態を考えれば給与が自動的に上がっていくことは極めて難しいと言えます。通常の働き方で言えば、高いマネジメント能力をもつ管理者であればまだ昇給の可能性はあると言えますが、それに対しても会計能力を伝達する(具体的に数字を出したうえでのプレゼンテーション)能力が必要となります。

では、限られた人しか給与をあげることはできないのでしょうか。答えはNOです。

 

生産性を意識する

医療介護業界に限った話でなく、世の中の標準的な話として、給与とは何を基準にして決められているかご存知ですか?

それは

  希少性(突出したスキルや知識、極例で言えば人間国宝

               ×

  必要性(会社が必要としているその人の個性、人としての魅力)

               ×

  生産性(単価を高められる能力)

の掛け合わせになります。

 

セラピスト自体が希少である時代はとうの昔に終わっています。

co-medical.mynavi.jp

ヨガやピラティス徒手療法など、そのような自己研鑽も既に珍しいものではなく、希少性を高めるとは言えないようです。様々な分野でやれることを増やしても、既出の分野においては上には上がいる状態が付き纏うということですね。病院ビジネスで個人の魅力に対価が発生するというのは考えにくいので、サラリーマンとして給与を高めるためには生産性(利益につながる働き)が最も上げやすい部分かなと思います。

病院や施設として利益になる”もの””こと”を発案・プレゼンし、実行できる能力が『生産性』という項目を高めていくことに繋がっていくということになります。

 

療法士のこれからのキャリア形成

副業とは本業以外のこと(アルバイトなど)を収入源とすることであり、パラレルキャリアは本業を主体とした上で、本業をStepUpさせるための働き方(複業、幅業)のことを指します。

終身雇用という昔からの日本の概念は、大手企業においても既に破綻しているということはトヨタ自動車豊田章男会長の発言からも既知の事実となっています。私たち世代は漫然と働き続けられる世代ではなくなっています。

前出したように、セラピスト自体に価値がある時代は終わり、今後競争は加速していくことが予想されます。

今後は自己の価値を創出していくことで、自己の価値を高めていくことが求められます。現在では厚生労働省もパラレルキャリアを推奨しており、今後一般病院にも副職解禁の潮流がやってくると思われます。セラピストとして軸を複数持ったり、幅を持たせられる”複業・幅業”を模索していく努力が求められます。

 

以下に構成労働基準局の『副業・兼業の現状と課題』から引用し、副業・兼業の促進の方向性をお伝えしていきたいと思います。

 

副業兼業促進の方向性

まず、副業を認めていない企業は85.3%で、副業・兼業に対する企業側の懸念としては、本業が疎かになる、情報漏洩のリスクがある、競業・利益相反の可能性がある、と「働き方改革に関する企業の実態調査」で半数以上の企業が回答しています。

 

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これはつまり企業にとってデメリットが多いということを、企業側は感じているということを意味しているんですね。そこで厚生労働省は副業兼業のメリット、デメリットを整理し、モデル就業規則を提案しています。

 

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その中で特に強調していることが、許可なく他の会社等の業務に従事しないこと、になります。判例をみると、就業時間外の行いを制限出来ないというのが実際のようですが、許可を得ないことで生じた損害に関しては懲戒解雇の事由に該当するということが記載されています。つまり、労働者と企業それぞれにメリットがあった上で(絶対に本業を疎かにしてはいけない)、闇営業であってはいけないということです。闇営業のことを副業になぞらえると”伏業”と表現するそうです。

 

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自己の副業が企業にとってどういった利点があるかを、数字をもってプレゼンテーションしていくことが、副業禁止の会社にお勤めの方がパラレルキャリアを考えていくうえで最初に必要となってくる部分と言えるでしょう。

 

まとめ

自己研鑽は自己責任になります。

やらなければいけないということはありませんが、それをしないと自己の価値を高めていくことはできません。正しい時期に、正しい方向性で、常軌を逸した量を行うことが、自己研鑽という視点では必要であり、その量をどこで確保するかといったロジカルな視点が必須となります。給与をあげていこうと考えるのであれば、希少性×必要性×生産性の観点で自己を見つめ直し、今まで自分が培ってきた持ち味をどう活かしていくかという視点をもっていかなければいけませんね。

やりがいはあるけど、給与が上がらないことで臨床が楽しめなくなっている人は、10年後に同じように『臨床が楽しい・臨床が好きだ』と思えるように、自己の働き方を見つめ直してみると良いですね。

 

本日は以上です!

ではまた!