mercy's blog

愛知県でリハビリテーションに従事する者として日々考えることをまとめています。

実際どうなる!?運動量増加機器加算!

前回の記事で2020年度の診療報酬改定に触れました。

気になる方は前回の記事に飛んでね!

診療報酬改定(2020年度) - mercy's blog

 

 

さて、運動量増加機器加算に関してです。

運動量増加機器加算とは

運動量増加機器を用いたリハビリテーション計画を策定し、当該機器を用いて 、脳血管疾患等リハビリテーション料を算定すべきリハビリテーションを行った場合に、月1回に限り150点を所定点数に加算する

となっています。

 

対象機器はまだ明らかにされていませんが、おそらく診療報酬調査専門組織が医療技術提案書で示している医療機器がそのまま採用されるのではないかと思います。増えるかもしれませんが、下記のものは採用されるのではないかと、、、↓↓↓

 

https://www.pt-ot-st.net/contents4/medical-treatment-reiwa-2/wp-content/uploads/sites/6/2020/02/000561787_2.pdf

 

 

さて!モノの予測はつくものの、ここからが問題!

 

 

 

この加算、算定回数伸びるのか???

 

 

 

導入意義はあると思います!

脳卒中ガイドラインにも示されるように、実績積んでますからね!

IoTは療法士が活用することで、良い方向へ導いていける重要なToolになる可能性を秘めていると思います!

歩行訓練支援ロボットに限って言えばやや懐疑的な印象ですが、上肢訓練支援ロボットや機能的電気刺激は使い方によって非常に有効と考えます!

 

ただ、純粋に投資費の割に加算が少ない。。とにかく少ない。。

 

ウェルウォークを例にとって考えましょう。

まずは歳出の部!笑

初期費用100万円、月額のリース料が35万円で、最低5年間の利用契約のようです。

つまり、投資額2000万越え!!!

(凄まじい。。。)

 

今度は歳入額を考えます。

ウェルウォークの場合の利用可能者数を考えていきましょう。

文献を確認すると週5日使用しているケースが多いので週5日利用とします。

また、患者一人当たりのウェルウォーク使用訓練時間を2単位の40分と仮定して、一日10人の患者さんがウェルウォークを利用できるとしましょう。

その場合、単純計算で週当たり最大14人までのウェルウォーク利用となります。5日×2週間の継続利用としても月当たり最大35人。加算は150点なので、月当たり5250点。地域差もあると思いますが、およそ53000円程度/月の稼ぎになるわけですね!

、、、いや、少なすぎだろ。。確実に回収できません。ロボット脚の調整時間でも30分前後かかるんだから、構造的に回せない。。さらにこの想定は患者1人あたりに療法士1人しかつけておらず、実際には療法士複数体制が必要な方が必ずいます。むしろそういう方の方が意義高いと思いますし。。。

 

収支だけでみたら寂しい医療福祉の業界ですが、民間病院である以上利益は必須です。

病院無くなったら地域の人困るでしょ?収支絶対大事です。。

 

上肢訓練支援ロボットのReo GoーJの場合では、本体価格が600万弱程度だったと思うので、9年ほどの利用で投資費用回収できる可能性(今後の改定での加算額上乗せや、訓練時間外での自主訓練利用もOKの可能性も考慮して)あるのでまだ現実的です。ただ5年間の補償期間とのことなので、5年以降故障せずにいてくれるか。。。といったところが悩ましい部分です。自主訓練としても安全に使える(座ってやれるし、、、)という部分は良いですが、減価償却の視点からいくと微妙な気もしてきました。。

機能的電気刺激も汎用性やコスト的に大アリでしょうね!加算とってくとこはここがほとんどな気がします!

 

  • まとめ

おそらく、同列に挙げられていますが『歩行訓練支援ロボット』は『上肢訓練支援ロボット』『機能的電気刺激』よりは伸びないと考えられます。後ろ二つは回復期での医療費削減、早期回復支援のための、回復期包括化への鍵となってきそうな気配です!特に機能的電気刺激の方ですね!歩行支援ロボットで療法士一人当たりの対応できる患者数が増えれば良いと思いますが、少なくとも現場ではそのメリットを感じません。質の担保も、、うーん、、、

まだまだ、PTの身体的活躍の場(涙)は残りそうです。。。

 

健康に気をつけて頑張っていきましょう!!!笑

 

 

 

〜〜終わりに〜〜

私見ですが、前回の記事でも触れたように、回復期病棟における疾患別リハビリテーション料を入院費に包括化することで医療費の削減を図っていくのではないか、という予測をしています。ただ、この青写真の達成に向けては、

  ”療法士一人で単位時間あたりに何人の患者さんのFIMを改善できるか”

が命題になってくると考えています。

 

そのためには、個々での対応で確実に成果を出すことはもちろんのこと、1対多数で同時多発的に患者さんをマネジメントできるスキルが必要となってくるんじゃないかなーと思います。そのためには評価の速度・精度は確実に身につけ、ブラッシュアップさせていく必要がありますね。あくまで私見ですので、考えの参考までに。。

 

ではでは!

 

--------------追記--------------

今日運動量増加機器加算のことでディスカッションする中で自分に無かった視点があったので追記したいと思います。

 

その方曰く、今回の加算が月に一回限り、というところから、現状の利用状況を把握したい狙いがあるのではないか、と考えてみえました。

なるほど。確かにそーいったこともありそうな気がするな、と思った次第です。

また、経済的な側面も含んだ加算の採用ではないか、など色々と憶測も耳にしております。

 

どちらにせよ、今回が初登場の加算なので、今後段階を踏んで点数の見直しを図っていくのでしょうね!今後の動向に注目したいと思います!

診療報酬改定(2020年度)

2020年度の診療報酬改定に関しての情報が少しずつ出てきてますね!

 

詳細はこちらでご確認を↓↓↓↓↓↓↓↓↓

www.pt-ot-st.net

 

今回の改定に関して、私が所属している病院に関わってくる内容を中心にまとめてみました!

私が所属している病院は回復期病院(外来もやってます)になりますので、

回復期病院として改定があった部分に関してまとめていきます!

 

  1. リハビリテーション実施計画書の取り扱いに関して
  2. 回復期リハビリテーション入院料の要件の見直し
  3. 運動量増加機器加算
  4. 摂食機能療法要件の見直し
  5. 外来リハ診療料におけるカンファレンスの緩和

 

                      これらに関して簡易的に報告します!

 

 

 1.リハビリテーション計画書の取り扱いに関して

 一つ目はリハビリテーション実施計画書の取り扱いに関してです。今まではリハビリの提供開始までの流れが『医師からの指示→リハビリテーション実施計画書の作成→リハビリテーション実施計画書の説明→リハビリ提供開始』となっていたのに対し、

改定後は『リハビリテーション実施計画書の作成前に行われる疾患別リハビリテーションについては、医師の具体的な指示の下で 行われる場合等に限り、疾患別リハビリテーション料を算定できることとする』とされました。つまり、これによって転院直後からリハビリテーションの提供を受けることができるようになったわけですね!今までの、転院初日に患者状態を確認して〜計画書を作って〜家族がいるうちに説明して〜、、、っていうやりとりが簡素化されることとなったわけです!助かる。。。「具体的な指示」の内容に関しては、必要量や内容、禁忌事項など、と提示されていますので一般的なオーダー内容で良さそうです。

 

ちなみにリハビリテーション総合実施計画書によってリハビリテーション実施計画書と兼ねることができる、とされていることから一本化している病院もあるようですが、リハビリテーション実施計画書はリハビリを提供する上で必ず必要となる計画書であり、総合実施計画書とは別に説明が必須です。栄養士等の他職種協業でとなるリハビリテーション総合実施計画書とは異なるものなので注意が必要ですよ!2回目以降の計画書説明においては、総合実施計画書のみでOKとなります!

 

 

https://gooo.link/pdf/2020/2020035/000603950reha.pdf

 

 

 2.回復期リハビリテーション入院料の要件の見直し

二つ目は回復期リハビリテーション入院料の要件の見直しです。概要としては実績指数の水準の見直し、常勤の専任管理栄養士の配置(回復期リハ1に関しては必須、他は望ましい)、入退院時のFIMを用いたADLの評価と説明、発症からの期間に関わる事項の削除、となります。

実績指数に関しては単純に水準が厳しくなりました。

栄養管理に関しては、回復期リハ1では専任の管理栄養士の配置が望ましいとされていた部分が必須となり、回復期2〜6ではこれまで明記されていなかった部分が望ましいとなりました。リハ栄養の視点として、管理栄養士に入って欲しいと言った意図は読み取れますので、関与が望ましいのでしょうね。今後必須となっていく部分かなと思います。

入退院時のFIMの説明に関してですが、これは今までと大きく変わりないかと思います。FIMの説明、計画書用いてやってたしな。。

個人的には発症からの期間に関わる事項の削除は、ようやくキタか!といったところ。今まで回復期への転院期限を超えてしまったが故に、転院できずにうちの療養に流れ着いてきた患者さんを何度見たことか。。今後は合併症を持つ方で、発症後のイレギュラーによって転院まで時間を要す方も増えてきそうですからね。患者さんにとっては良いことなのではないかと思います!ただ、重症度も上がってくることが予測されるので、実績指数の管理は些か大変になるかもですね。患者さんに対する機能訓練も大切ですが、何より目標に向けてのマネージメント能力が大切になってくるなと感じる次第です。

 

https://gooo.link/pdf/2020/2020035/3113.pdf

 

 

 3.運動量増加機器加算

ついにきたぞ!工学機器による加算!増加傾向のリハビリテーション費に対して、今後も増加が懸念されることから、療法士の直接介入以外での対応にフォーカスが当たっている次第です。地域包括ケア病棟と同様に、回復期病棟においても包括化の流れが着々と進んでいる気配を感じずにはいられません。まだ対象となる機器の詳細は発表されていませんが、おそらく下記リンクに掲載されている機器が対象となってくるのではないかと予想しております。間違ってもエルゴメータではないのは確かかと。。ただ、実際にこの加算をどの程度の施設が算定するのかはやや疑問ですね。この点に関して次回、掘り下げてみたいと思います。

 

www.pt-ot-st.net

 

 

 

 4.摂食機能療法要件の見直し

これまでの鼻腔栄養及び胃瘻造設患者という対象の括りが撤廃され、摂食嚥下支援チーム(NST)の介入によって摂食嚥下機能の改善が見込まれる患者が対象となりました。間口が拡がったのは摂食嚥下の対応で苦い想いをしている患者さん自身やSTさんにとっても前向きな改定かと思います!ただ、実際現場レベルでこの対応を実践していくとなると、それほど多くの患者さんには提供できないかと思います(病院の規模にもよるのでしょうが、、、)。摂食嚥下の獲得に向けてチーム一丸となってアプローチすべき対象である場合には、改定後の算定要件も、人員基準さえクリア出来れば特別ハードルが高いものではないように感じます。ただ、新設の摂食嚥下支援計画書なるものが気になります。。中身どんなのなのか。。これが大変だとハードル上がる。。

 

https://gooo.link/pdf/2020/2020035/237.pdf

 

 

 5.外来リハ診療料におけるカンファレンスの緩和

いよいよラスト!外来リハにおけるカンファレンスの緩和になります!緩和というより、撤廃!これ個人的には非常に大きな改訂となると思います。入院患者さんよりも圧倒的に対応数の多い外来において、この要件の緩和は非常に助かるところです。従来のカンファレンススタイルから、医師への報告をもって情報共有とする、としていただけた部分は大きな緩和と言えるでしょう。一言で言うと、めっちゃ助かる!

 

www.pt-ot-st.net

 

 

 

いかがでしたでしょうか。私個人が関わる範囲でですが、診療報酬改定に関する内容をまとめてみました。それほど大きなサプライズの無い改定だったのかな?といった印象です。質問やご指摘などあれば、コメントいただけると学びになりますので、是非ともよろしくお願いします。

どこかの誰かの参考になれば幸いです。

 

ではまた!!!

 

自己紹介

はじめまして、まーしーです!

 

愛知県でリハビリテーション職に従事しています!

 

これまで回復期病棟、療養病棟、外来、通所リハビリと臨床経験を積んでくる中で、

 

それなりに部外活動や学会発表など行ってきましたが、実績らしい実績がありません。。。

 

『組織をでた時の自分の価値はどれだけあるのだろう』と想うところがあり、

これからブログに日々感じることをまとめて、

自分と向き合っていこうと考えている次第です!

 

内容としては、リハビリテーションに関わる臨床的なこと、

一般の方向けの予防に関する情報、専門職としての働き方など、

日々自分が携わる中で得た一次情報や普遍的なことに対して、

なるべく専門職外の方にも伝わるように発信していけたらと考えています!

 

情報が古かったり、勘違いしているところがあるかもしれませんので、

気になることがあったりしたら是非コメント下さい!笑

 

では!