mercy's blog

愛知県でリハビリテーションに従事する者として日々考えることをまとめています。

障害年金の基礎基本

どーもー!!

最近は『ランニング』『筋トレ』『お勉強』といい感じの週末ルーティーンが出来上がってきてるんで、ここに『ブログ更新』を組み込みたいと思っております、マーシーです!

今後も主に若手セラピストが知ってるといいんじゃないかなーって+αを記事にしていきたいと思っております!

それでは参ります!

本日はこちらです!

 

障害年金

 

名前は聞いたことあるけど、よく分かってはないなーなんて方も多いんじゃないですかね?セラピストの領域、ってわけではないかもしれませんが、直接患者さんと関わる私たちが知っておくことで、患者さんはとーーー、、、っても助かります!この機会に基本を確認していただければと思います!

 

 そもそも障害年金て、何ね?

障害年金は、その名の示す通り”年金”にあたります!

そうです!65歳以上になった人はもらえる権利がありますよー、っていうアレですね!

20歳過ぎた人から支払いが義務化されてるアレでもあります。

年金の仕組み自体はこれから変更していくことが必須になるものですが、現行制度に関して理解していることは大切です。そうです。明日何が起こるかわからないですから。備えあれば憂いなし。まずは仕組みの理解からしていきましょう!

 

 

年金の種類

日本には65歳を超えた際からもらえる”老齢年金”、一家の大黒柱を失った際にもらえる”遺族年金”、病気や障害で日常生活に支障をきたした際にもらえる”障害年金”といった三つの年金システムがあります。いずれも国から支給される年金になります。こういった仕組みを知らずに保険契約をしていると、過剰補償となっているリスクもありますから、しっかり勉強していきましょう!繰り返しますが、今回のターゲットは障害年金ですよ〜!!

 

どんな人が受けられるの?

障害年金を受けるための条件は三つ!

  ①初診日要件

  ②保険納付要件

  ③障害状態要件

の三つ全てをクリアしていることです!

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①初診日の証明は何故必要?

これは単純明快!ⅰ.初診時の加入年金を特定するため、ⅱ.初診日よりも前の納付状況を確認するため、ⅲ.”障害認定日”というものを決めるため、の三つです!

初診日はその傷病で初めて”病院にかかった日”を意味しています。

いーちばん最初の病院です!健康診断で指摘された、とかそういったのは当てはまりませんのでご注意を。

初診日によって受け取る年金の種類や金額が変わってくるため「初診日を確定すること」がとても大事になります。

老齢年金とは異なり、過去に厚生年金に加入していた、という実績は意味がないので、頭の片隅に留めておけると良いと思います。

何かしら指摘された場合はなるべく早く受診することをオススメします。。。

公的年金は全て二階建ての仕組みとなっています。発症時点での加入年金によって変わってきますので確認していきましょう!

 

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初診日時点に加入している年金で決まります

おおよその目安としては、3級で就労に制限がある状態、2級で家庭内での軽度の活動のみ/随時援助を必要とする状態、1級で活動範囲がベッド周辺といった状態になります。働いてても、もらえるんですよ!以外と知らずに過ごしてらっしゃる方もみえますので、是非押さえておいて欲しいポイントです!

納付要件は次の項目で確認していきますので、その前に障害認定日に触れていきたいと思います。

障害認定日

障害認定日というのは、原則として初診(発症)日から1年6ヶ月が経過した日のことを指します。ただ、1年6ヶ月前に症状固定した場合はその限りではなく、症状固定日が障害認定日となります。切断や循環器系疾患で手術適応の方であれば手術日、脳血管疾患の方であれば発症6ヶ月後で医学的に症状固定と判断された場合がそれに当たります。

症状固定の定義は以下の通りとなります。(厚生労働省HPより引用)

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002c0vt-att/2r9852000002c18c.pdf

障害認定日は疾患によって多少解釈が変わってくるので、疑問を抱いた際には社会福祉士社会保険労務士などに相談すると良いでしょう!以外と1年6ヶ月の通念をそのまま用いている医療現場も多いそうなので、その場で出来ないと言われても裏をとることはした方が良いと思います。

基本的に障害認定日を過ぎたらすぐに請求が出来ます!また、過去5年以内分であれば過去の分も遡って翌月分から請求できますので、過ぎていても慌てずに申請をする、もしくは促してあげるようにしましょう!

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障害認定日請求

また、一度審査が通らなかったからといって諦める必要もありません。事後重症請求と言うものがあるのです!これは障害認定日においては対象とならないと判定された場合においても、その後重症化した場合には請求できる、といったものです。

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事後重症請求

期間はあまり関係なく、障害固定後に生活で困る状況にあって、医学的記録があれば請求できるというように解釈していただければ良いと思います。

 

②教えて!納付要件。。

納付要件は以下のどちらかを満たしていることが条件になります!

当然ながら、納付していなければ支給対象とはなりません。だから、払ってないといざという時に大変なんですね。『将来もらえるかも分からない年金のお金なんて払ってられるか!』という考えの方もおみえになると思いますが、老齢年金だけでなく、障害年金や遺族年金などの”自分や家族のいざというときの備え”として払っておくことは大切だと思います。

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2/3要件

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1年要件

③ここがポイント!障害状態要件!

「傷病による支障の程度が認定基準を満たしている」かを確認しましょう!ここが重要です!めっちゃ重要です!

なぜなら、我々セラピストが学校教育で学んできた概念と大きく異なるからです。身体障害者手帳の申請用紙も同様なのですが、ポイントは”補助具をつけない状態”ということです。我々は普段補装具なり、補助具なりを用いて生活が成り立つように設定を構築します。補装具は”上手に使うもの”という認識なんですね。

診断書にも上記の注意点は記載されていますが、我々医療従事者が普段のその患者さんの動きを想起した際には、(補装具を用いて)生活が成立している状態を思い出してしまって、余計なバイアスがかかってしまう傾向にあります。

身体障害者手帳にしても障害年金にしても、何をもって等級判定がなされるかを理解した上で、担当患者さん・利用者さんがどの程度の支援を受けられるかの目安が想定できると、後のサービス体制の構築に役に立ちそうですね!

 

終わりに

障害年金は「社会保険」の一つであり、保険料を納めている条件を満たした人の権利です。援助というよりもリスクに対する保証にあたるものなので、申請に対してマイナス思考を抱いている人には上記の言葉を伝えていただければと思います。

障害年金は現役世代の応援年金です!しっかり理解して、情報提供できるようにしておけると良いですね!

 

ではまた!

personal designを終えて

お久しぶりです!

最近業務量増加の関係もあって離れておりました。。申し訳ございません!!!

また書けるタイミングで書いていきたいと思います!

 

本日はですね、昨日開催しましたpersonal designの振り返りを行っていきたいと思います!今回は”当事者セラピストの立場から想うこと”をテーマに、山田隆司先生と森友美先生の当事者体験を通して、障害に関しての考え方を考える機会をいただきました。ありがとうございます!

今回鈴木さんは一身上の都合により講演が叶いませんでしたが、また機会があればお話聞いてみたいなーと思った次第です!はい!

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何にでも共通して言えることかと思いますが、新たに得た”情報”を自分の”知識”として落とし込み、組織化の果てに”知恵”としていくことが大切なのかなと思います。聞いただけで満足せず、自分の中に落とし込んで、応用していけるようにしたいですね!

自分が聴講していて、キーセンテンスだと感じたところに焦点を当てて振り返ってみたいと思います!

 

当事者セラピストの役割

”当事者セラピスト”とは、当事者としての主観性とセラピストとしての客観性を相互活用して社会に溢れる生活課題の解決に取り組んでいく医療福祉系専門職のことを指すそうです。今回初めて定義のようなものを知りました。これまで何となく耳馴染みのあった言葉でも、知ろうとしていないとやはり情報は得られないということを知った第一印象でした。

 

疾病・障害体験の中で得た当事者視点と専門職として持っている専門的知識・経験を掛け合わせて、社会の中に潜在する物理的バリアや社会的バリアにアプローチすることで共生社会の架け橋になる、というのが役割になるそうです。

正直聴講する前まで、こういった体験を話してくれている先生方とお話をした際には後遺障害というものを感じることがなかったので、凄く”強み”みたいな感じで捉えている方が多いのかなと思っていたのですが、今回聴講してそんな生優しいものじゃなかったなと、考えを改めました。当たり前なんですが、みんな障害を原因とする様々想いを抱えながら進んでいるんだなと思った次第です。

 

森友美先生による中途障害者の想い

”生活に戻って活動範囲が広がるほど、今までとの違いを感じ、障害を実感した”

ギランバレー当事者の森先生から出た一文になります。退院後半年〜1年くらいの間の時点で感じた想いだそうで、発症前の状況に戻って初めて気づく『発症前とのギャップ』これが障害なのだと思う、というような内容だったと思います。

私自身リハ病院で入院・外来・通所リハに従事させていただいているので、話を聞きながらそのような想いを口にされる患者さんがいることを思い出しながら話を聞いていました。退院に際して、生活に戻れたから良かった、仕事に戻れたから良かった、と病棟勤務の立場だと思ってしまいがちです。もちろん在宅復帰が病棟セラピストの第一目標というのは間違い無いですし、現実的な設定をしていくことが大切なのは変わらない事実なのですが、それが目標の最低ラインであるというのは忘れないようにしたいなと思いました。退院時点がセラピストのゴールになってはいけませんね。

機能障害からの完全な回復は疾患によっては難しいです。その人の人生にどう関わっていけるか、という視点でも専門性の高い知識・技術や共感力、幅広い選択肢の提案力の全てが大切です。

 

”障害受容をしたと勘違いした”

発症から3〜4年が経過し、前を向くことを意識して活動することで自分の価値を再発見していくことが出来たそうです。その結果、アイデンティティの再獲得ができ、障害受容が出来たと感じたそうですすが、それでもまたその後の数年を過ごすうちに、発症前の自分が恋しくなったりすることに気づいたそうです。発症前の自分を覚えているんだし、全く元通りになっているわけではないので、当然といえば当然と森先生自身おっしゃっていました。

以前身近な看護師さんと自分たちの子供の障害に関して話していた時に辿り着いた、”本当の意味での受容なんてのは一生できないんだよね”という結論を思い出しました。

完全な受容はあり得ないし、それを目指すと苦しくなる。受容出来てないから前に進めないという医療従事者側の意見に対するアンチテーゼだなと感じました。『受容できない』というネガティブな想いも、その人自身として受け入れて関わっていきたいと感じました。

 

”障害はその人自身がたどり着く問題であり、他者から促されるものではない”

森先生自身の障害の捉え方になりますが、障害はやはり困るものでもあるし、治したい気持ちもあるそうです。ただ、この障害があったことで得た縁もあり、ネガティブな面だけでなく、ポジティブな面もあると仰っていました。

この話を聞いた中で感じたこととしては、本当の意味での受容はないとしても、受容段階に基づく心理的な関わりを知識として意識はしつつ、患者さんと退院に向けたプロセスの歩幅を合わせていきたいということです。無理なポジティブの押し付けはいけませんが、患者さんの想いに思考を巡らせつつ、介入するべき手段の獲得など決定していければなと思います。

 

 

山田隆司先生による先天性障害者の想い

山田さんの病名はシャルコマリーテゥース病という進行性疾患ですが、幼少の頃の診断で”先天性”と名前のつく疾患名をつけられたことで、”先天性障害”という付き合い方をされてきたため、『先天性』と表現させていただいています。ご了承ください

”「障害を持たされている?」社会と障害と僕”

キッカケは、18歳の頃に自動二輪免許取得の希望を警察に伝えたことで身体障害者手帳の取得を促された、という経緯だったそうです。その流れで身体障害者手帳を取得する流れとなったそうですが、先天性障害者としては、生まれた時からその状態しか経験していないため、人と違うという想いはありつつも”障害者”という認識はなかったそうです。免許取得というイベントの中で、世間が自分を障害者だと言ってくる、と感じたと仰っていました。

障害は個人の中に内在しているものではなく、社会に存在するもので、障害者とは(社会参加に)さし”障”りや”害”を感じる”者”という意味だ、ということを教えていただき眼から鱗が落ちる想いでした。

”社会から取り残されてしまう ”

 急速な症状進行の中、身体状況の変化による社会的役割の喪失やアイデンティティーの喪失など自己肯定感の崩壊というセンテンスが印象に残っています。

進行性疾患ならではの感覚かと思います。繰り返される障害との再会によって、その度に付き合い方の見直しを余儀なくされるというのは、非常に精神的な体力を必要としますよね。その中で自分の強みや役割を活かしてのキャリアチェンジという思考に、山田先生の強さを感じました。

”『障害を克服する』ことは目標なのか?”

本人の中に帰属するという医療障害モデルと、社会との隔壁そのものを指すという社会障害モデルとで対比しながら、障害のありかによってアプローチが違ってくるということを分かりやすく伝えていただけたと思います。

医療的な意味合いでの障害は本人にとって解決すべき課題となりますが、社会的な意味合いでの障害は環境に対するアプローチで改善できることが多いというように感じます。多角的な視点を持って、”障害と上手に付き合うための支援”が生活期に関わるセラピストにとっては大切だなと思いました。障害云々ではなく、”その人”のためになることを考えていきたいですね。

 最後に

セミナーの終わりに際して山田さんから教えていただいた”患者バイアス”という言葉に関して、これまで考えたことがなかったものの、思い当たる節がありハッとさせられましたので紹介させて頂きます!

 

患者バイアス…患者役割

・良い患者でなくてはならない

・Thのリハビリに応えなくてはいけない

・家族や周囲の期待に応えなくてはならない

・病気を克服して障害と向き合わなくてはならない

 

患者さんは皆こういった”役割”としての想いを抱きつつリハビリをしているのかもしれません。その方の前向きな気持ちを尊重しつつ、こういったバイアスからくる発言なのかもしれないということを心の片隅にとどめながら支援をしていきたいと思いました!

今回のpersonal designはこれまでとは違った切り口で参加者の方々の見識を拡げるお手伝いが出来たと思っています!今後とも一人でも多くの方に我々運営が大切にしたいものをお伝えしていける機会を作っていきたいと思います!

 

ではまた!

新型コロナウィルスについて考える

こんにちは。

mercyです。

 

先日こんな記事を書かせてもらいました。

 

myway8969.hatenablog.com

 

現在の想いと前回記事を書いた時の想いとしては、

 

基本的な部分は変わっていません。

 

ただ、明らかに変わったことがあります。

 

それは

 

 

”自分が感染媒体となるリスクの高さ”

 

 

です。

 

最近様々な情報が明らかになっていますね。

 

厚生労働省のHPも、

空気感染の項目では以前記事を書かせていただいた時期のものと比較して、

”閉鎖空間における一定の環境下のもとであれば感染を拡大させるリスクが強くなる”と

表現が強くなっています。

 

 

自分が感染しないように予防するのは当たり前として対応をしてきましたが、

無症状下であっても感染させるリスクがあると分かったとなると

やはり対応としては無闇な外出を控える、となるのでしょう。

自分の大切な人が、自分の行いによって危険な目に合うのは、誰しも本意ではないですよね。

症状が無くても、感染している可能性があることを肝に命じます。

 

ただ、そんな中でも行えることがあると思っているのも事実です。

自分の考えや大切だと思う情報をSNSでシェアすることもそうですし、

コロナ終息後のタイミングに向けて発信できるセミナーの準備など、

やれることは沢山あると思ってます。

 

この雰囲気に負けて、気持ちも一緒に落ち込むのはナンセンス!

次の機会への準備期間に当てつつ、日々の仕事を全力で取り組むのみです!

 

これからも、

自分のための自分ではなく、

誰かのため自分であれるように。

誇りをもって、毎日を過ごそう。

 

今日はこんな感じ。

 

ではまた。

リハビリテーションサービスの流れ②〜目標設定等支援・管理料〜

前回から開始しました、リハビリテーションサービスの流れシリーズになります。

理解しやすいようにシリーズ化してお伝えしていこうと思います。

前回の記事はコチラ

リハビリテーションサービスの流れ①〜疾患別リハビリテーション〜 - mercy's blog

働き始めて3年目くらいまでには、ちゃんと理解しておいて欲しい内容にします。

自分が何をしているか、知っておくことは大切ですよ!

調べたら分かる内容ですが、極力自分の言葉で、分かりやすくお伝えしていければと思います!

では参りましょう!

 

 

目標設定等支援管理料とは

まず大前提としてなのですが、医療と介護のリハビリテーションサービスは原則として併用ができません。

介護保険を持っている人は、介護保険使ってリハビリ受けてね!”といった感じになっています。

そこで、

介護保険を持っている患者さんにリハビリを提供する場合は、予め社会参加までを視野に入れてリハビリテーションプログラムを作成して、効率的に介護保険事業へのリハビリテーションサービス移行を行えるようにしてくださいね!”

という仕組みとして目標設定等支援・管理料が創設されたんですね。

 

詳しい中身に関しては下記の引用元を見てもらえると良いのですが、一番大切な目的に関してのみ一部抜粋して掲載させていただきます。

”目標設定等支援・管理料は、要介護被保険者等に対するリハビリテーションの実施において、定期的な医師の診察、運動機能検査又は作業能力検査等の結果、患者との面接等に基づき、医師、看護師、理学療法士作業療法士言語聴覚士社会福祉士等の多職種が患者と共同して、個々の患者の特性に応じたリハビリテーションの目標設定と方向付けを行い、またその進捗を管理した場合に算定する。”

令和2年度診療報酬改定について

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000604939.pdf#page=409

 

ちなみに訪問看護からの療法士派遣となる看護Ⅰ5や、リハ特化型を謳っているデイサービスなどは、正式にはリハビリテーションサービスには含まれていませんので外来でのリハビリと併用することが可能です。

 

算定条件(対象と算定方法)

介護保険保有している患者さん(心大血管、呼吸器を現疾患としてリハを算定している場合は含まない)に対して目標設定等支援管理シートを説明した場合に、初回に限り250点、初回以降は100点を3月に1回に限り算定できます。

ただ目標設定等支援・管理料に関しては任意の加算というよりも義務の意味合いが強いものになります。

指定の期間を超えて未説明のままリハビリテーションを提供した場合、1割の減算になってしまう(脳血管Ⅰの場合、245×90/100=220点となります)ことを考えると、もはや説明義務と言って差し支えないと思います。

必ず疾患別リハビリテーション算定期限のそれぞれ1/3以内(脳血管:60日、運動器:50日、廃用:40日)に説明しなければいけないものになりますので、目標設定等支援管理シートを作成している方は、こういった背景を理解した上で作成出来るとより良いと思います。

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算定期限を越えて算定を行なっていない場合は所定点数に90/100を乗じた点数を算定できる

 

目標設定等支援管理シート

目標設定等支援管理シートとは、目標設定等支援・管理料を算定する場合に必要となる様式になります。項目に関しても詳しくはコチラから確認していただければと思います。

令和2年度診療報酬改定について

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000604939.pdf#page=409

ざっくりまとめると、説明時点までの経過とADL評価(FIM or BI)、ICFに準ずる〈心身機能・構造〉〈活動〉〈参加〉項目にあたる予後予測とそれに向けた訓練内容の設定、今後必要となる介護保険リハサービスの利用の見通しに関してを、医師から患者にどのように伝えたか、それを患者・患者家族がどのように受け止めたかを記録する様式、といったものです。

 

まとめ

 今回は目標設定等支援管理シートの作成に関わる内容に関してまとめさせていただきました。算定頻度は3月に1回と少し間隔が空くため、入院においても外来においても、2回目以降の算定で漏れが生じやすいかなと思いますので、注意していただけたらと思います!

原則として、疾患別リハビリテーションは期限が切れた後に維持期リハビリテーション料に切り替えられるわけですが、介護保険保有者の維持期リハビリテーションは現在では提供が出来なくなっていますので、介護保険サービスへ移行させていくプロセスをちゃんと踏んで行かなければいけないですね。

医療から介護への円滑な移行というのは今後も課題となってくる部分ですので、制度的な知識を身につけて患者さんに不利益が出ないようにしていきましょうね!

 

本日は以上!ではまた!

 

 

 

 

リハビリテーションサービスの流れ①〜疾患別リハビリテーション料〜

今回は制度上のお話を一つ。

理解しやすいようにシリーズ化してお伝えしていこうと思います。

働き始めて3年目くらいまでには、ちゃんと理解しておいて欲しい内容にします。

自分が何をしているか、知っておくことは大切ですよ!

調べたら分かる内容ですが、極力自分の言葉で、分かりやすくお伝えしていければと思います!

では参りましょう!

 

疾患別リハビリテーション

そもそもですが、リハビリ(理学療法作業療法、言語聴覚療法)を受けられる疾患は脳血管運動器廃用症候群心大血管呼吸器の5種類に大別されます。それぞれの区分に応じて保険点数が定められており、提供できる日数が制限されています。これは過去に提出されたデータを元に決められており、この期間においては”集中的にリハビリテーションを実施することによって機能改善が期待できる”と国が認めているということを意味しています。この期間であれば6単位/日(2時間)を上限としてリハビリテーションを提供することが出来、加えて日常生活動作の獲得を目的とした訓練を行なっている入院施設に限っては9単位/日(3時間)まで提供を認められています。回復期リハビリテーション病棟が1日9単位まで算定できる仕組みはこの条件に当てはまるからなんですね。ちなみに療養病棟にいたっても同様に1日9単位を上限にリハビリを提供することが可能です。

点数表は下記の通りです。大原則として、1対1の個別リハビリを20分きっちり行った場合に算定が可能となります。

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疾患別リハビリテーション点数表

20分あたりの基本点数は点数表の通りとなっており、起算日から30日以内であれば早期加算(1回につき30点)、14日以内であれば初期加算(1回につき45点)が基本点数に加算される仕組みとなっています。発症から14日以内であれば初期加算と早期加算が共につくということです。全ての疾患で対象となります。1点はおよそ10円で、この価格のうち、7〜9割が社会保障費から病院に支払われている、ということですね。

起算日は発症日のことを指します。ケガであればケガをした日、脳卒中であれば画像所見等を元に診断がおりた日、ケガ・病気に伴う手術をしていた場合は手術をした日、急性増悪であれば体調が悪くなった日、のことですね。

疾患別リハビリテーション料は原則、全ての入院患者にあてはまる点数になりますが、廃用症候群に関してのみ外来リハビリでは適応されませんのでご注意ください。

これは、

”廃用って体が弱ってしまっていることを理由にリハビリをやってる人やのに、家から通いながらリハビリするっておかしくない?入院してリハビリしたら?ホンマに入院するほどじゃないけど廃用状態なんですよ。っていう人やったらちゃんと介護保険のリハビリ紹介して状態維持できるようにしてあげてなー”

っていうようなニュアンスになります。脳血管、運動器、心大血管、呼吸器などの急性増悪によってFIMもしくはBIが10以上下がった場合は廃用ではなく、急性増悪元の疾患別リハビリテーションが再開(再起算)となりますので、状態悪くなった=廃用という解釈にならないようご注意ください。

 

また回復期リハビリテーション病棟では、上記疾患別リハビリテーション期限とは別に回復期リハビリテーション期限というものが設けられており、脳血管では150日(高次脳機能障害を認める場合は+30日)、運動器では120日、廃用では90日のリハビリテーション提供期間が入院日から起算されるようになっています。疾患別リハビリテーション実施において、入院か在宅かで集中して実施できる期限が異なりますので、ご注意ください。点数は同上です。介護認定を受けられている方は、疾患別リハ期限を迎えると原則として医療保険でのリハビリを受けることが出来なくなりますのでご周知ください。

 

疾患別リハビリテーションの提供にはこれまで、医師による事前のリハビリテーション実施計画書作成・説明が必須とされてきましたが、令和2年度の改定により、これからはリハビリを提供する前に必ずしなければいけないという状態ではなくなります。それでも原則一週間以内(遅くとも二週間以内)の説明が義務付けられていますので、お忘れにならないよう注意したいですね!

診療報酬改定(2020年度) - mercy's blog

 

疾患別リハビリテーションの概要に関してはこのようなものになります。詳しく知りたい方はこちらから確認をしてください。

www.pt-ot-st.net

 

 

次回は目標設定等管理支援シートに関して書いてみたいと思います。

 

では!

 

自立支援とは何か?専門的見知からヒトを想い、寄り添う。

本日はこちらの記事から私見を交えつつ、お知らせを。

www.joint-kaigo.com

 

診療報酬の改定が間近に迫る中、先週3/16に次年度4月に迫る介護報酬改定に向けた議論が社会保障審議会・介護給付費分科会にて行われたという記事です。

 

内容を要約すると、

”自立支援・重度化防止をどう評価していくか”

エビデンスに基づくアプローチや、成果指標をより明確にしていく必要がある”

としつつ、他方からは

”自立支援・重度化防止も大事だけど、それよりもQOLとか尊厳とか自己実現とか、そういう数値で評価しにくいものも大切だよね”

なんてゆー意見が上がったよ、という感じの話でした。

方針として、気持ちとしては後者ですが、現実的には前者かなといったところです。

本当は両方とも評価できる仕組みが望ましいですけどね!

QOLとか、自己実現は、個人によって違うから評価するの難しいんじゃないかなーといったところです。

 

 

さて、ここからが私見

 

 ”自立支援とは何か”と考えると、やっぱり

 

”自分の意志を体現できる”

 

が重要になってくるかと思います!(個人的見解です)

 

一人で出来る!が最重要ではないのかなってのが私見になります。

 

回復期6年、療養4年、その間外来を兼務で5年、通所1年と、実務を通して学んだことは、

”何を提供すべきかは、対象者の背景や今いる段階によって異なるが、目的は変わらない”

ということです。

 

因果なもので、真面目に勉強して頑張っているセラピストほど機能改善に躍起になり、大切なその人自身の在り方を、時に見落としてしまっていることがあるように思います。

 

何のためのリハビリなのか、これを患者さん・利用者さんと共有していることが何より大切です。自分の独りよがりであってはいけないですし、何も考えずに漫然と時を過ごすことがあってもいけないのです。

 

昔の私は、回復期のセラピストとして、生活期、維持期のセラピストとして、機能改善を”希望する”患者さんがいた時にベストを提供できるように研鑽を積んできました。それが正しいと思っていましたし、今でも半分は正しいと思っています。

正しいと思う半分は

”機能改善を希望する患者さんに全力を尽くせるよう研鑽に励んだ”ということ、

間違っていたと思う半分は

”希望しない患者さんには必要最低限の能力獲得と環境調整を行っていた”ということです。

 

”希望する患者さんには”

”希望しない患者さんには”

 

この考えが、今となっては違っていたのかなと思います。

 

特に回復期において、病気や怪我を負った患者さんは、現状に悲観し、未来に絶望しています。程度に差はあれ、多くの方がそう感じています。そんな時に、”希望する患者さんには”、なんて思っていた自分は本当に愚かだったと思います。

 

希望しない患者さん。もう歩けなくて良いから、車椅子で移動するから良い。と言っている患者さん。少なくても心の底からそう思っている患者さんはいないと思います。そんな人たちに、専門的見知からヒトを想い、寄り添うのがセラピストです。

”患者さんの希望するリハビリを提供する。”

聞こえは良いですが、そんな状態は思考停止状態ですよね。。。

 

専門的見知からヒトを想うこと。

専門的知識があるだけではダメ、ただ寄り添うだけでもダメ。

 

”何が出来るのか”

”何が問題なのか”

 

”何をしたいのか”

”それは到達可能な目標なのか”

 

”独りで出来るのか”

”どうしたら目標達成できるのか”

 

そう言った様々な問題を、専門職として想い関わることが、

自立支援そのものなんじゃないかなと想います!

 

 

来月のpersonal designでは、当事者セラピストによるトークセッションを企画しています!

セラピストであり、患者さんとしての気持ちもわかる当事者三人によるトークセッションです!

あなたの専門職としての経験値を上げてくれる出会いを、是非この機会に!

 

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現在のコロナ状況を鑑みまして、今回はライブ配信のみの予定です!

参加費は1000円となる予定です!

↓↓↓参加申込お待ちしております↓↓↓

https://www.online-salon-mcs.com

 

 

キャリア形成のためのSTEPを考える

今回は2019年に当日スタッフとして関わらせていただいた

”本気の出世とパラキャリ”

を通して学んだことをシェアしていきたいと思います。

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とある調査によると、臨床家1〜2年目は講習会に積極的に参加し、3〜4年目でやや俯瞰的な見方をするようになり、5年目以降で自己研鑽の機会が著しく低下する(二極化;30〜40%でほとんどやらなくなる)ということが分かっているそうです。

5年目以降というとちょうど結婚や出産などのライフイベントが選択肢として出てくる時期にあたるので、ライフスタイルの変化もあるのでしょうね。例えば、子供の習い事が7000円である、そのタイミングで良い実技の勉強会が7000円である、といったように同様の額が提示されている際に選択が迫られるという状況が考えられますね。

親になるとわかる部分ではありますが、一般的な働き方しかしていないセラピストにとって勉強会の費用を捻出するというのは非常に大変なことです。

ただ、理想的には、子供への投資も自分への投資も、両方選択できるのが一番ですよね。

家族も自己研鑽も双方ともに大切にするため、月に数万円の収入の上げ方、という視点でお伝えさせていただければと思います。

 

現実的に収入は上げられるのか

ある程度長く勤めている方にとっては周知の事実と思いますが、どんなに自己研鑽を積みながら経験年数を積んでも、診療報酬の形態を考えれば給与が自動的に上がっていくことは極めて難しいと言えます。通常の働き方で言えば、高いマネジメント能力をもつ管理者であればまだ昇給の可能性はあると言えますが、それに対しても会計能力を伝達する(具体的に数字を出したうえでのプレゼンテーション)能力が必要となります。

では、限られた人しか給与をあげることはできないのでしょうか。答えはNOです。

 

生産性を意識する

医療介護業界に限った話でなく、世の中の標準的な話として、給与とは何を基準にして決められているかご存知ですか?

それは

  希少性(突出したスキルや知識、極例で言えば人間国宝

               ×

  必要性(会社が必要としているその人の個性、人としての魅力)

               ×

  生産性(単価を高められる能力)

の掛け合わせになります。

 

セラピスト自体が希少である時代はとうの昔に終わっています。

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ヨガやピラティス徒手療法など、そのような自己研鑽も既に珍しいものではなく、希少性を高めるとは言えないようです。様々な分野でやれることを増やしても、既出の分野においては上には上がいる状態が付き纏うということですね。病院ビジネスで個人の魅力に対価が発生するというのは考えにくいので、サラリーマンとして給与を高めるためには生産性(利益につながる働き)が最も上げやすい部分かなと思います。

病院や施設として利益になる”もの””こと”を発案・プレゼンし、実行できる能力が『生産性』という項目を高めていくことに繋がっていくということになります。

 

療法士のこれからのキャリア形成

副業とは本業以外のこと(アルバイトなど)を収入源とすることであり、パラレルキャリアは本業を主体とした上で、本業をStepUpさせるための働き方(複業、幅業)のことを指します。

終身雇用という昔からの日本の概念は、大手企業においても既に破綻しているということはトヨタ自動車豊田章男会長の発言からも既知の事実となっています。私たち世代は漫然と働き続けられる世代ではなくなっています。

前出したように、セラピスト自体に価値がある時代は終わり、今後競争は加速していくことが予想されます。

今後は自己の価値を創出していくことで、自己の価値を高めていくことが求められます。現在では厚生労働省もパラレルキャリアを推奨しており、今後一般病院にも副職解禁の潮流がやってくると思われます。セラピストとして軸を複数持ったり、幅を持たせられる”複業・幅業”を模索していく努力が求められます。

 

以下に構成労働基準局の『副業・兼業の現状と課題』から引用し、副業・兼業の促進の方向性をお伝えしていきたいと思います。

 

副業兼業促進の方向性

まず、副業を認めていない企業は85.3%で、副業・兼業に対する企業側の懸念としては、本業が疎かになる、情報漏洩のリスクがある、競業・利益相反の可能性がある、と「働き方改革に関する企業の実態調査」で半数以上の企業が回答しています。

 

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これはつまり企業にとってデメリットが多いということを、企業側は感じているということを意味しているんですね。そこで厚生労働省は副業兼業のメリット、デメリットを整理し、モデル就業規則を提案しています。

 

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その中で特に強調していることが、許可なく他の会社等の業務に従事しないこと、になります。判例をみると、就業時間外の行いを制限出来ないというのが実際のようですが、許可を得ないことで生じた損害に関しては懲戒解雇の事由に該当するということが記載されています。つまり、労働者と企業それぞれにメリットがあった上で(絶対に本業を疎かにしてはいけない)、闇営業であってはいけないということです。闇営業のことを副業になぞらえると”伏業”と表現するそうです。

 

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自己の副業が企業にとってどういった利点があるかを、数字をもってプレゼンテーションしていくことが、副業禁止の会社にお勤めの方がパラレルキャリアを考えていくうえで最初に必要となってくる部分と言えるでしょう。

 

まとめ

自己研鑽は自己責任になります。

やらなければいけないということはありませんが、それをしないと自己の価値を高めていくことはできません。正しい時期に、正しい方向性で、常軌を逸した量を行うことが、自己研鑽という視点では必要であり、その量をどこで確保するかといったロジカルな視点が必須となります。給与をあげていこうと考えるのであれば、希少性×必要性×生産性の観点で自己を見つめ直し、今まで自分が培ってきた持ち味をどう活かしていくかという視点をもっていかなければいけませんね。

やりがいはあるけど、給与が上がらないことで臨床が楽しめなくなっている人は、10年後に同じように『臨床が楽しい・臨床が好きだ』と思えるように、自己の働き方を見つめ直してみると良いですね。

 

本日は以上です!

ではまた!